関西の歴史建築vol.4は 旧神戸移住センターになりました。
移住センターの作品をつくろうと思ったきっかけは、2008年にさかのぼります。神戸市は日本人ブラジル移住100周年を記念して旧神戸移住センターのリニューアル工事を行い、「海外移住と文化の交流センター」として新しくオープンしました。私は仕事で100周年記念事業に関わったのです。具体的には移住ミュージアムの展示企画と展示されているすべての映像約50本を制作しました。仕事でも高知や和歌山に資料や写真を借りに行き、出来る限り充実した内容の映像を目指しましたが、展示では語りつくせなかった旧神戸移住センターの建物の記憶を独自の取材を加えて作ろうと思いました。
結果的には建物にゆかりの方々を取材するのに3年の月日がかかってしまいました。制作途中からお披露目の上映会は移住センター5階のホールで開きたいと決めていたので日伯協会の黒田公男さんにお願いしました。5階のホールはかつてブラジルまで45日間の航海に出発する移住者を、バンザイバンザイと送り出した場所です。返事は快諾で、これ以上ふさわしい場所はないという場所で上映会を開くことになりました。また、神戸新聞と読売新聞の2社に記事を書いていただいたお陰で、当初の予定(50名)を大幅に上回る100名近い方々がお見えになったので急遽座席を増やして対応するという嬉しいドタバタもありました。
当日の会場は、親戚がブラジル移住したという方や移住者をお世話した方など旧神戸移住センターに思い入れのある方々がたくさんお見えになりました。映像の感想(私への励ましも含んだ)をメールでちょうだいしたので紹介させていただきます。
「保存再生された建築物に有縁の人々が集って、その建築物が機能を果たしていて一番輝いていた時代を、よく纏められた映像と証言で振り返る。単に郷愁だけではなく何よりも「後世のため」という一心が貫かれていたこと、またこの映像がこの建築物の中で上映されたことに大変感動しました。この建築物の歴史にも残る出来事でしょう。歴史的建造物の保存再生には技術(ハード)とそれにも増して歴史や伝統を受け継ごうとする心(ソフト)がなにより重要であることを実証していただいた会でした。今後とも実践してください。期待しています。」
このような暖かいお言葉をいただいたことをとても光栄に思い、またみなさんからのメッセージを励みに、今後も活動を続けて行こうと決意を新たにした次第です。
催事名 「旧神戸移住センター」ビデオ上映会
日 時 2011年11月27日(日)13:30 開場 14:00 開演
会 場 海外移住と文化の交流センター5階ホール
神戸市中央区山本通3丁目19番8号
定 員 100名(申込み先着順)入場無料
主 催 関西の歴史建築ドキュメンタリー上映委員会
後 援 神戸市
協 力 財団法人日伯協会
企画・構成 若林あかね
撮 影 荒木克己 池田俊己 吉本憲正 細川雅浩 若林あかね
編 集 若林あかね
選曲・音効 岩田修一
ナレーション 竹房敦司
ジャケット写真 大場典子
出 演 協 力 財団法人日伯協会理事 黒田公男
元神戸移住斡旋所教養課勤務 北島隆雄
元神戸移住斡旋所ボイラーマン 南正幸
元海外移住事業団勤務 藤原史生
短期高等海員養成所第一期卒業生 小山田博
コチア青年連絡協議会第22代会長 高橋一水
監 修 財団法人日伯協会 黒田公男
後 援 神戸市
2011年11月23日 神戸新聞朝刊
2011年11月25日 読売新聞朝刊