栗原邸一般公開最終日の6月4日(日)、2回目のギャラリートークに参加させていただきました。
前日には450名の方が見学に来られたということで、最終日のこの日もたくさんの方が見学に来れていました。そんな中、あろうことかギャラリー・トークの開始時間に遅れてしまうという失態ぶりで、汗を拭き拭き参加しました。
栗原邸のビデオは、私にとってお気に入りの作品です。というのも、私がこの建築ドキュメンタリーシリーズを制作するきっかけになったDVDがありまして、そのDVDというのは、世界の名建築を素晴らしいカメラ・ワークと独特な語り口で紹介されているのですが、なんと言っても構造の話が秀逸です。クレイアニメのように模型をトントントンと動かせて、その建築の構造を紹介しているのがとても面白い。ああ、私もこんな映像をつくりたいとずっと思っていたところ、思い続けるのは大切ですね、やっと構造の説明をできる建築に出会うことができたのです。残念ながら努力不足で模型までは作ることはできませんでしたが、図と笠原先生の熱のこもった解説により、栗原邸のブロックで出来た天井がなぜ落ちてこないのかを紹介することができました。お恥ずかしながら、私自身このビデオをつくるまで、なぜ天井のブロックが落ちてこないのかを理解できてなくて、今回ようやく正しく理解できたという次第で、、。汗このことを一番伝えたかったのに、前回言い忘れてしまったので、今回は冒頭でこのお話をさせていただきました。
映像の上映室は、先週より広いお部屋に変わっていました。なんでも、12席がいつも満席だったため、広い部屋に変更し、座席を倍にしたとのこと。その広くなった部屋でも立ち見が出ていて、栗原邸の人気の高さを物語っていました。
催事名 栗原邸継承のための一般公開2023 ギャラリー・トーク
日 時 2023年6月4日(日)14:00~15:00
会 場 栗原邸 (京都市山科区御陵大岩17−2)
主 催 栗原邸保存研究会/一般社団法人リビングヘリテージデザイン
《上映作品》
関西の歴史建築 vol.12 「YAMASHINA Modernism KURIHARATEI」(2023/57min/HD)
《作品紹介》 京都市山科区の御陵(みささぎ)にある栗原邸は、染色家で京都高等工芸学校(現:京都工芸繊維大学)校長だった鶴巻鶴一の邸宅として1929年に建てられました。設計は同校教授の本野精吾(もとのせいご)に依頼しました。 本野は、ドイツ工作連盟が設立されて間もないドイツに留学した経験から、種機能性と合理性を追求したコンクリートブロック剥き出しの住宅を造ります。建築技師・中村鎮(まもる)によって発明された中村式鉄筋コンクリートブロック、通称「鎮(ちん)ブロック」を用いた建物は当時としては目を引く建物だったことでしょう。日本におけるモダニズムのはじまりと言えるこの建物は、DOCOMOMO Japanという組織から優れた日本のモダニズム建築として選定され、2014年には国の登録有形文化財にも指定されています。
この作品では、2011年から京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムとして修復作業をされている笠原一人先生に、建物の歴史的・文化的価値を語っていただきました。
出 演 京都工芸繊維大学大学院助教 笠原 一人
栗原邸オーナー 医師 栗原 眞純
(有)京壁 井筒屋佐藤 佐藤 ひろゆき
資 料 提 供 笠原 一人
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
栗原 眞純
『中村鎮遺稿』(中村鎮遺稿刊行会発行、1936年)
『萬年社広告100年史』
企 画 笠原 一人
若林 あかね
構成・撮影・編集・製作 若林 あかね
前回を上回るギャラリー・トーク参加者
暑くて上着の着れない筆者
広くなった映像を上映している部屋の様子